[本] 4コマ哲学教室

2012年07月28日

4コマ哲学教室(2006/04)
No:0179
Rank: C
著:南部ヤスヒロ+相原コージ
属:哲学門前書
読了1:071123
読了2:未
Ex:

・一生役立つ哲学講座 を銘打ち、4コマ&考証で構成されている哲学門前書。哲学というより、倫理の副教材本としての意味合いも強い。
・けれどもしかし、だけれども。何かが足りない気がする・・・。小学生に読ませるなら有益かもしれない。4コマということで興味を持ってくれるだろう。
けれど、それなら『子どものための哲学手対話』を読んだほうがずっと良い。
分かりやすい・・・というよりは、分かった気になれるし、各テーマも読んだ後に考えさせられるものばかりだ。
また、かといって中学生~高校生が読むなら本書よりも『哲学の教科書』のほうが良い気がするし…どうも中途半端な印象が残る。
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[本] 僕はパパを殺すことに決めた

2012年07月16日


僕はパパを殺すことに決めた 奈良エリート少年自宅放火事件の真実僕はパパを殺すことに決めた 奈良エリート少年自宅放火事件の真実
(2007/05/22)
草薙 厚子

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No:0160
Rank: C+
著:草薙 厚子
社:
属:
読了1:070713
読了2:未
Ex:副題“奈良エリート少年自宅放火事件の真実”
  かつて絶版指定された本でもある。
・IQ136の天才少年が自らの家に火を放った理由とは何かを供述書類から探る。
・読み物としてはおもしろいけど、これを事実であるとは認められない。著者はストックホルムシンドローム発症しちゃったんじゃないの?と訝ってしまう。
・そんなことで発達障害、精神障害だとしてしまうのであれば、多くの人間が犯罪者予備軍()に該当してしまうことだろう。あまりに強引過ぎる結び付け方に首を傾げてしまう。
・加害者や被害者などの環境が明らかになる供述調書自体はとても面白いのだが、それに対する著者の考えにげんなりしてしまう。
・ニア曰く、「あなたは、ただの人殺しです。ただのクレイジーな大量殺人犯以外、なにものでもない」。そういうことです。

・にしても、本当に殺そうとした超絶教育熱心鉄拳制裁な父親はおらず、守りたかった継母と異母弟妹が死ぬことになったのは皮肉なもんである。実行カレンダーを作り、道具の準備も着々と進めて、自らの未来も捨てての行動であったが失敗に終わる。結果論になるが、詰めが甘かった、ということだろうか。いや、覚悟が足りなかったというべきか。
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[本] 裁判官の爆笑お言葉集

2012年07月16日

裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書)2007/03
No:0139
Rank: C
著:長嶺超輝
社:幻冬舎新書
属:新書・法律
読了1:000000
読了2:未
Ex:P217 ¥720

スピーディに判決を出すことが評価される世界で、
六法を脇に置き、出世も顧みず、色々と心を砕いてくれている裁判官がいる。
私は、そんな裁判官が好きだ(あとがきより)

・裁判傍聴好きな著者が選んだ裁判長のお言葉集。
 まず裁判長の発言があり、その裁判の状況を著者が解説する流れ。
・タイトルの〝爆笑〟というのは、「こういう発言を不快に思う方がいるかもしれないけど、そこは笑って許してやってくださいな」という意味と考えるべき。タイトルは保険である。
・一度は裁判を傍聴しに行くのもいいかもね。
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[本] 森の生活 ※要再読&再評価

2012年07月16日


森の生活 (講談社学術文庫)(1991/03/05)
No:0111
Rank: C+
著:ヘンリー・デイヴィッド・ソロー
社:講談社学術文庫961
属:
読了1:081006
読了2:未
Ex:自己啓発本やらでよく取り上げられる古典。


・分厚い(P500越え)わりに、微妙だったかな。時間&費用対効果という点でみれば、辛めの採点になるかも。
・読まずに流せ。大切なとこはごく一部のみだ!

〝生活のレベルが少し下がっても、心の豊かさがもう一段だけ向上すれば、失うものは何もない。
 余計な富を持つと、余分なものしか購入しない。魂が必要としているものを購入するのに、金銭などは必要ないのである〟

これが、この本が伝えたいことの全て・・・だろう。

・けれども、アマゾンのレビューや他の書評を見てみると、なんだか評価が異様に高いこの本。
再読の必要がありそうだ。読むには若すぎたのかもしれないね。
<あらすじ>
ソローは自ら小屋を建て、二年三ヵ月、たった独り森で暮らす。
そして自然に身をまかせ、動物と触れ合い、少し離れた立ち位置から現代の社会&人間への考察を行う。


ま、この本の大半はタイトルのまんまの〝森の生活〟なんだからタイトルで騙される人はいまいて。
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[本] センター試験の裏ワザ2006 英語

2012年03月14日


センター試験マル秘裏ワザ大全 英語〈2006年度版〉(2005/08)
No:0082
Rank: C
著:津田秀樹
社:洋泉社
属:雑学
読了1:?
読了2:未
Ex:袋とじ仕様なので立ち読み不可。
  この感想は2006年度ver。最新年度verではないので注意。

↓筆者による内容説明部。
センター試験は多くの人が受けるものだ。故に、平等でなければならない。
そのために選択肢ひとつを作るのにもずいぶんと工夫を凝らす。罠をかける。
この本は、それを見抜き、逆にそこから解をはじきだすことを主眼とする。
――1つの裏ワザで選択肢を2つ消し、また他の技を使うことでさらに削る。
このことで、〝全く手のつけられない問題〟であったとしても、解答率を格段に上げていけるのである。
その技を詰め込んだのが本書であり、故に袋とじである。

・センター試験は、50万人が受ける。だからこそ、作問委員会の裏をかける!!と筆者が説く。
・ちなみに、本書はあまり使えない。英語は実力のみでやることを薦める。姉妹本である国語版はそこそこ使える、というより、雑学として興味深い。
・多大な人数の未来を決定づけるテストを作るひとたちの苦労が分かる本。
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[本] 蹴りたい背中

2012年03月13日

蹴りたい背中 (河出文庫)(2007/04/05)
No:0072
Rank: C
著:綿矢 りさ
社:河出文庫
属:小説(ラノベ寄り・歪んだ青春?)
読了1:?
読了2:未
Ex:第130回芥川賞受賞(史上最年少19歳)。127万部以上売り上げた。
  『インストール』(第38回文藝賞受賞)の著者でもある。

・高校に入って孤独になった結構Sな「私」が、これまた孤立しているキモオタ野郎の「にな川」と不思議な関係になって、背中を蹴り飛ばす話。
・(愛着と苛立ちが入り交じって)蹴りたくなる彼(にな川)の背中」ってこと。
・芥川賞受賞作だからといって身構えると拍子ぬけするかもしれない。
・おもしろい・・というよりは、読みやすい本であり、出てくる人物からしてライトノベルに近いものを感じる。
・一部自分と重なるところがあって痛かった。
・もし仮に買うのなら、文庫版を推奨。わざわざハードカバーで買う価値はない。
・(物語内の期間が短いとはいえ)実質2人という少ない登場人物の成長があまりなく、かといって劇的な展開もない。少ない頁数だからこれは仕方ないのかもしれない。
・この本の魅力はスラスラと読める文体と、〝史上最年少の芥川賞受賞作〟という宣伝文句だろう。
・名だたる芥川賞なのにこれが受賞しちゃって良いのかなぁ。ライトノベルだろこれ。いや、それはラノベに失礼だな。これよりもずっと面白いラノベは山のように存在する。
・つまりは、この本はあまりオススメできない。「なぜこれがこんなに売れて(著者の懐が潤って)しまったのだろう?」と疑問に思う点で、『リアル鬼ごっこ』と似たものを感じた。
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[本] 生協の白石さん

2012年03月12日

生協の白石さん(2005/11/03)
No:0053
Rank: C
著:白石昌則&東京農工大学の学生の皆さん
社:講談社
属:ネタ
読了1:?
読了2:未
Ex:まとめブログからの出版本


・元々、【生協の白石さん】 とは、とある学生さんが作ったブログの名前。
・内容は生協 への要望や質問を寄せる「ひとことカード」に対する白石 さんからの回答を掲載したもの。元サイト自体はすでに閉鎖されているが、質問回答カードまとめは後輩学生がしっかり受け継いでいるようだ。
・そんなBlogが2ch掲示板にて話題になり、最初は大学名を隠していたが、「東京農工大の生協・白石さん」と特定され、本人の了解を得たうえで書籍化されたのが本書。
・受けに走りすぎてこけることもなく、しょーもない質問だからと一蹴することもなく。いい大人がユーモアを以てゆったりと質問に答えてくれる、その姿勢に惹きつけられる人は多いだろうと思う。
・のちに、白石さんをマネしようとして全国で滑り続ける生協回答者が続出したとかしないとか。

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[本] とある魔術のインデックス 1

2012年03月12日


とある魔術の禁書目録(インデックス) (電撃文庫)(2004/04)
No:0017
Rank: C
著:鎌池 和馬
社:電撃文庫
属:ライトノベル(能力バトル)
読了1:?
読了2:未
Ex:アニメ原作・そげぶAA元ネタ

・文章がそこまでうまいわけでもなく、伏線回収があるわけでもない。
・妙なほど高いテンションで物語が進むわりに、この第1巻に関してはラストがご都合主義ではない。
・自分はそこまで惹かれなかったため、続巻以降読んでいない。それでも売れているというのだから、これは人の好みによるところが大きいのだろう。
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ハル、ハル、ハル 【★★☆   rank C+】No.271

2010年08月09日

ハル、ハル、ハル (河出文庫)(2010/07/02)
著 古川 日出男
社 河出文庫

Ex 帯:太田光(爆笑問題)オススメ

文章がかなり前衛的。
筆者が意図した“生きている文章”であるかもしれないが、
その意図が先行することでかえって迷走しているのでは?とも。
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タイタンの妖女 【★★☆   rank C+】No.342

2010年08月05日

タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫 SF 262)(1977/10)
著 カート・ヴォネガット・ジュニア
社 ハヤカワ文庫
Ex The Sirens of Titan

様々な 不 条 理 によって、
太陽系惑星間を放浪させられる主人公。
そのサイハテ、預言の地であるタイタンで明かされる真実とは。

最後のオチの受け取り方等で、評価が大きく分かれそうな本である。
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緋色の研究  【★★    rank C 】No.556

2010年03月13日

緋色の研究 (新潮文庫)(1953/05)
著 コナンドイル(訳:延原謙)
社 新潮文庫
Ex ホームズ 文学参考文献

文学参考文献。
シャーロック・ホームズシリーズ第一弾。
ホームズとワトソンの出会いなど、有名な場面も。
親の本棚にあったのでこっちにもってきた参考文献。むかし読んだし、漫画本もあるのだが、授業があるってことで再読。

そう、ぼくには独自の職業がある。この職業をもっているのは、おそらく世界中で僕ひとりだろうが、じつは顧問探偵なんだ。(P30)


いささか美術的な表現をつかったっていいだろう?人生という無色の糸かせには、殺人というまっ赤な糸がまざって巻きこまれている。
それを解きほぐして分離し、端から端まで一インチきざみに明るみへさらけだして見せるのが、僕らの任務なんだ(P63)


このホームズシリーズが世に出てから「私立探偵」が山ほど増えたのはちょっとした皮肉かもしれない。
世界には本当にずば抜けた能力を持つ探偵もいるのかもしれないが・・日本の探偵、その大半はペットの捜索や浮気調査や民事の証拠集めなどを行っている。最近では「別れさせ屋」日テレ視聴率買収工作などの「特殊工作」などをやっている探偵もいるようだが、あれは別枠か。

また、実際にはそのような仕事内容なので、求人資格は「体力」と「精神力」が重視されるとか。学歴問わずで一部で穴場とされていたり・・?
(現実、かなりの額の依頼料がかかるようだが・・ホームズの暮らしぶりは結構質素である)

元探偵だけど何か質問ある? ~ カジ速 を読んでみると面白いかと。



さて、私立探偵の本家本元のホームズさんの思考はどうなっているのだろうか?

「ただ一滴の水より」筆者はいう。「論理家は大西洋またはナイヤガラ瀑布など、見たり聞いたりしたことがなくても存在の可能なことを、推定しうるであろう。同様に、人生は一連の大きな鎖であるから、その本質を知ろうとすれば、一個の環を知りさえすればよいのである。~」(P28)


これ ↑ は作中にてホームズが書いたという雑誌のコラムの一部である。

「僕には観察にも推理にも才能があるんだ。そこに述べてある理論を、君は妄想だと思っているらしいが、ほんとうにきわめて実用的なんだ。
 いま現に僕は、それのおかげで毎日のパンを得ているくらいだからね。」(P30)


という言葉に違わず、ホームズはこの考えに基づいて現場の証拠ひとつから論理をどんどん展開していく。

でも、その推理法ってどーなの?視野が狭いような気がしないでもない。
本人が博識なので、思いつきというよりはまだ知識に裏打ちされている・・ようには思うが。さすがにちょいと無茶があるのではなかろうか。

・・自分は相手のペンの握り方を見て「おまえ習字習ってたろw」といって驚かすあたりが関の山である。
そもそも、仮説にさらに仮説を立てて・・というのは危険な気がする。偏見や占いと変わらないじゃないかと自分は考える。

現にワトソンが「なんというたわごとだ!」と代弁してくれるのだが、彼が最初にワトソンと握手をしただけで(要反転)

ここに医者タイプで、しかも軍人ふうの紳士がいる。すると軍医にちがいない。顔はまっ黒だが、黒さが生地でないのは、手首の白いのでわかる。してみると熱帯地がえりなのだ。艱難をなめ病気で悩んだことは、憔悴した顔が雄弁に物語っている。左腕に負傷している。動かしかたがぎこちなくて不自然だ。 わが陸軍の軍医が艱難をなめ腕に負傷までした熱帯地はどこだろう?むろんアフガニスタンだ。――と、これだけの過程をおわるには一秒も要しなかった。それで僕がそれをいったら、君は驚いたというわけさ」(P32)


と説明して感嘆させ、さらにエドガー・アラン・ポーの著作に出てきた有名な探偵等の実名をあげ、こきおろすことで読者の代弁者・ワトソンを黙らせる。

これはちょっと大人げないというか・・汚いというか・・?ま、気にするところではないか。

そう、ホームズの推理は十中八九、外れない。それも一瞬で結論に至る。
これは小説の魅力ある主人公、世界でただひとりの私立探偵としての矜持がそうさせるのだろう。

自分は首を傾げながら読み続けた。
郵便配達員が海兵隊の退役兵曹って一目で分かる・・のか?(P34参照)そして薬のカプセル、現場に残っていた一個の指輪(これはP28の“一個の環”と掛けているのだろう)だけでそこまでの結論によどみなく、まっすぐ突き進めるのだろうか

また、読者にはスタンガスン殺人現場の血については・・

「たしかに外傷はないというんですね?」彼はあたり一面に飛散した血痕を指さしながらふたりにたずねた。
~「ではむろんこの血は第二の人物のものだ。もし他殺だとすると、おそらく加害者のものだろう。~」(P44~)


・・・とある。被害者は外傷なのに現場には加害者の血があたり一面に・・ってのが謎のひとつなのに、その答えが 鼻血 ってどーゆーことだよ。
あたり一面に・・?それはねーよwと思ってしまうのである。

自分はさらに首をかしげながら読み進めることとなった。そのことがこの評価につながっているのかもしれない。
また、参考文献として続けて「四つの署名」を読んだので、ワトソンの傷の位置などの設定ミスなども細かいことだが気になってしまう。
「聖書だ」とまで絶賛しているアマゾンの評価やホームズ好きな<シャーロキアン>の皆さんには申し訳なく感じますが、我が道を進みます(^q^)

今となってはDNA鑑定で済む話なんだよなぁ。現代の名探偵はそっち方面の協力も得られるのよね。市民にとっちゃ良い時代になりました(?)

・・それにしても犯人の殺人動機の描写がかなり長い。そこまで掘り下げる必要があったのだろうか?
「殺す側にも殺される側にもそれなりの理由がある」ってのは分かるのだが。
100ページ使って犯人逮捕、残りの100ページで犯人の動機という構成はページ数としてはバランスがとれているようだけど・・読んでいると感じるだろうが・・内容としてはアンバランスなのだ。前半が事件の真相に迫っていくスピーディな展開となっているので、その反動もあり、後半読むのに疲れてしまった。
ここについては読むひとそれぞれ感じ方が異なると思われるのでそこまでとやかく言うつもりはないです。

犯人逮捕までの展開はなかなかスピーディでよかったのだが・・やっぱりそのあとが・・長いよね?ワトソン君。



正直なところ、
・ワトソン → 友達少ないぼっち(緋色の研究冒頭)

故国にはひとりの親戚もひとりの友人をももたなかった私は、まるで空気のように自由の身であった。


・ホームズ → ふだんやることがないと薬物中毒状態(四つの署名冒頭)

「きょうはどっちだい?モルヒネかい、それともコカインかい?」
ホームズは読んでいた古い事態の書物からものうげな眼をあげて、
「コカインさ。七パーセントの液だ。君も一本やってみないかい?」


ってことにビックリしたが、それはまた別の話。

153 名前: それも名無しだ [sage] 投稿日: 2009/08/16(日) 21:36:11 ID:3B3ON+AE
ちなみにシャーロック・ホームズの住所には今でも依頼の手紙が寄せられるらしいが
それをすると関係者から「現在老齢につき昔のような活動はもうできません」という返事の手紙が届くらしい



<あらすじ>
文学の知識―皆無、哲学の知識―皆無。毒物に通暁し、古今の犯罪を知悉し、ヴァイオリンを巧みに奏する特異な人物シャーロック・ホームズが初めて世に出た、探偵小説の記念碑的作品。ワトスンとホームズの出会いから、空き家で発見された外傷のないアメリカ人の死体、そして第二の死体の発見・・・と、息つく間もなく事件が展開し、ホームズの超人的な推理力が発揮される。(裏表紙より)



<関連記事>
◇四つの署名 【★★    rank C 】No.557

ゆめうつつ草紙 【★★☆   rank C+】 No.552

2009年10月17日

(2002/04)
著 原田宗典
社 幻冬舎文庫
Ex 「ぜつぼうの濁点」は絵本になり、
   「秘密」は中学生向けの国語教科書に載っていたりする。

父の書斎にあった本を拝借。
この本を初めて読んだのは小学生のころだったろうか。
再読してみると、特殊な本の構成も相まって、地味ながら印象深い短編が多いことに気が付く。

本書巻末の『自作解説』より。

(略)、そして「文学」だの「小説」だのというご大層な鎧を脱ぎ、身構えるのを止めました。
 自分にとっての初心とは、少年の頃に読んだり聞いたりした「お話」にある、と思ったのです。

本書を開いてみれば、余白が多く、字が大きいのが分かるはず。
これは上記のように、リズムの整った「お話」を語ってもらうための配慮。

それこそ、字を小さくすれば見開き1頁に収まってしまうであろう短編もある。
全15編。短く、淡白なのは確かだが、読んで損した、なんて話はひとつもない・・・はず。

・・・それにしても、エッセイとのギャップが大きい人だなぁ。
いや、そのギャップがまたいいんだけどね。サラッとした短編集も好きよ?

<あらすじ>
『嘘の女王』    遠い昔、この世の片隅に、「嘘の国」を収める嘘の女王がおりました。
★★★★      彼女はある日「真実の国」の真実の王子に恋をしてしまいます。
            この想いを伝えたいのですが、一度でも真実を口にしようものなら、その命は失われてしまうのです・・・。

『誰かが誰かを』  「いや、我々は別にあいつらがツルツルだから嫌なのではない。
★★          ツルツルなのは何とか許す。だがシワシワでないことは どうにもこうにも許せないのだ。」

『三人めの天使』  「好き」を司る好きの天使と、「嫌い」を司る嫌いの天使。
★           「何もかも嫌いだと言うけれど、じゃあ君は嫌いというのも嫌いなの?」

『失われた女』   夫が重い病にたおれる。
★           「俺が死んだらお前が他の男のものになるのが惜しい」 それを聞いた妻は・・

『消す魔術師』   「おまえにどんなものでもこの世から消してしまう 消す魔術 を与えてやる。
★★★        その魔術を使って、この世の中を面白くしてみせろ」 目の前に現れた魔人はそう言った。

『願いの壺』     「これは願いの壺と呼ばれるものだ。壺の中に向かって願うがいい。その言葉は封印され、願いは必ずや叶うだろう」
★★★★       何を願ったのか忘れた私は、十年ぶりにここ、ブエノスアイレスを訪れたのだった。

『一途なハーモニカ』 “私”を買ってくれたのは憧れの女子学生。
★             でも、それには乙女らしい狙い、(好きな男の子と間接キス)があってのことで・・・。

『漂う町にて』     ここにいる奴は皆、あんたと同じで 何もかも思い出せないんだよ。
★            無理に思いだそうとすると、あんたの胸の穴が疼いて 今よりもっと虚しくなるぞ。

『矢印の方へ』     或る夜、女と別れた私はやけ酒を飲んだ。道を歩いていると、目の前に白衣を着た誰かが・・
★★★★         ・・・って、え?この白いのって、一方通行表示の白い矢印じゃ・・・
              「俺についてきな」 「今のおまえよりも もっと不幸な奴を見せてやる」

『ぜつぼうの濁点』   ぜつぼうの「ぜ」の濁点は、絶望にくれる主人を見かねて出ていくことにした。
★             けれども、絶望の濁点を欲しがるような 「ことば」 はどこにも無くて・・・。

『ひとりと云う鳥』    「そいつは空じゃございませんよ」 と、彼はいう。
★             「孤独の中で一人ぼっちで見ないことには 姿が見えない鳥なんです」

『シンユウ記』      「親友を育てて恋人をゲットしよう!」
★             送られてきたオサム?号はまず男として育ち、飼い主と親友関係を築くと、一晩のうちに女になるという。
               で、そいつはというと・・「ふざけんな、バカ」が口癖の問題児らしく。
               ・・・・ま、こいつが嫌いになったら「キル・スイッチ」を押せばいいんだけどね。

『二〇〇六歳になったぼくの話』   まさか 一晩だけ 2006歳になるなんて、思ってなかったよ。
★★★                  嘘だって思ってるでしょ?証拠だってあるんだ、本当なんだよ。

『水差しを手にした女』  若き詩人は 一枚の絵の女に恋をした。
★              そんな彼が死んだとき・・・。

『秘密』       秘密屋 という質屋で、母親の隠し事が高額で売られているのを見つけてしまった“ぼく”。
★★         「どんな秘密でも、うちは買い取りますよ」


<関連記事>
東京困惑日記 【★★☆   rank C+ 】 No.30
◇海の短編集 【★★★☆  rank B+】 No.553
◇人の短編集 【★★★    rank B 】 No.554

<外部リンク>
ゆめうつつ草紙 自作を語る ~はらだしき村(原田宗典公式サイト)

イチロー式集中力 【★★    rank C 】 No.443

2009年08月07日

イチロー式 集中力(2007/11/21)
著 児玉光雄
社 インデックス・コミュニケーションズ
Ex 167頁 ¥1300

20分で読める驚きの読みやすさ!(皮肉)
大切なことってどの分野でも似たり寄ったりだよなぁ、と再確認する一冊。

 始 ま る か ? イ チ ロ ー 商 法 。
さすがに 『イチローの成功力』 は怪しまれたのか売れ残ってたけどなw

コスパ低っ。内容は当たり前のことばっかなうえに薄くてすぐ読み終わる。なのに値段は高い。

ただ、これをちゃんとまとめてからアーチェリーの点数が伸びて自己新が出たのも事実。
練習の成果かもしれないけども・・・
(追記:8月1日 50M 267 → 6日 50M 282・H.T.593 → 9日 30M 315 → 11日 70M 253)
う~む・・・。綺麗ごとを並びたてたような本なんだけどねぇ。
「そんなこと言われなくても分かってるんだよ!・・・行動には移せてないけど」っていうか・・・。

自分の意志の問題か?

自己啓発の本ってそんなのばっかり。
元になった本があって、その言葉をちょっといじって新しい本が出て、それをパクって違う本が出て。

無神論者が多い日本で、聖書やらコーランやらに頼らない、頼れないからこのジャンルの本を読む。
自己啓発なんて、それこそ宗教じみてるってのにね。
とりあえず本を出せば、上っ面だけの本でもそれなりに売れる。
何かに頼りたい人は多いし、そんな人がいなくなることは永遠にないから。

以下を読めばもう本書は読まなくても良いレベル・・・なはず。

<まとめ ※「」はイチローの言葉、伏字は自分の考え>
Chapter 1 プレッシャーをはねのける
①小さなことからはじめていく
     「いま小さなことを多く重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道なんだなと」

②準備を完璧にする
     本番は準備してきたことの確認作業。集中を高めて準備する。「やれることはすべてやりましたし、手を抜いたこともありません」
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友達・棒になった男 【★★☆   rank C+ 】 No.313

2009年05月20日

友達・棒になった男 (新潮文庫)1987/08
著 安部公房
社 新潮文庫(あ‐4‐19)
Ex 「友達」は谷崎潤一郎賞。
   「棒になった男」は「棒」として高校国語教科書に収録。

それにしても、どこまでもシューーーール!!
さすが安部さん!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!


やっぱり、演劇本ということで、劇を見てみたい話ばっかだな。
せっかくなんだから高校の国語教科書にあった〝棒〟みたく小説用に新規書き下ろしされたものを読んでみたかった。

自分が読みたかったのは、〝あの〟ver.の棒になった男なのだから。誰か持ってたら下さい。

あと、ちょっと全体のバランスが悪くないか?良作と微妙な短編が混ざりすぎている感がある。

≪あらすじ≫
友達        シューール。平凡な男の部屋にいきなり見も知らぬ9人家族が押しかけ、住み着いてしまう。
★★★☆     好意&厚意の押しつけ。善意に満ちた笑顔で隣人愛を唱え続ける彼らの真意は?
          〝靴箱はオリとして使うので~〟ってのは公式ネタバレw・・・・だから小説版として書き直してくれとあれほど(ry

鞄 ★       鞄役が人間だったら、というシュールな話。演劇だったら面白いのだろうが、小説として読むと微妙かなぁ

時の崖 ★    ボクサーの憂鬱。時の崖は高く、険しい。いわゆる〝ときがけ〟・・・いや、なんでもない。タイム・リープなんて出来りゃ苦労しない。

棒になった男   気がついたら、私は棒になっていたようだ。
★★★★     ・・・やっぱ良いね。どうあっても小説版のが好きだけど。

榎本武揚     いかん!そいつは榎本の罠だ!!・・・実在した人物の if の話。今日も牢屋で秘密の授業が始まる。
★★★       これも劇ならもっと面白くなりそう。大道具さんや舞台裏の黒子さんが大変そうだけどねw

日常の世界に、明らかな ズレ を持ってくる。
そして、そのズレが生じたまま事もなげに展開していき・・・ようこそ、非日常の世界へ。
この ズレ を楽しむ短編集。 妙に既視感があるのは、なぜだろう?

≪セリフ引用≫
(友達 より)
次女 「早く分かってほしいな。孤独が、どんなに嫌なものか・・・私たちと一緒にいることがどんなに幸せなことか・・・」 

(棒になった男 より)
地獄の男 「落着いて、落着いて・・・いくら最初の実地研修だからと言って、そうピント外れを言われちゃ困るな。
         ・・・標本室に無いからって、何も珍しいものばかりとは限らないだろ・・・逆に・・・」

地獄の女 「ありふれすぎたもの!」

地獄の男 「そうさ、この何十年か、棒のパーセンテージは上がる一方なんだ。ひどい月には、死亡者の98.4%が棒だっていうくらいだからね」

地獄の男 「なに、いまに馴れるさ。昔は、ぼくもそうだった。人間の、見せかけの形に、つい迷わされてしまうんだな。
        しかし、棒はもともと、生きてる時から棒だったってことが分かってしまえば・・・」


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2008年11月04日

優雅で感傷的な日本野球 〔新装新版〕 (河出文庫)(2006/06/03)
著 高橋 源一郎
社 河出文庫
Ex 第一回 三島由紀夫賞 サイン本入手

講演会があるってんで購入。ちゃっかりサインしてもらった。
ただ、これが三島由紀夫賞なのか・・・。

内容は面白いわけじゃないけど、かといって退屈もしない。
よく分からないが、全く分からないほどじゃない。
自分でもなに書いてるか分からなくなってきたが、そういう本だ。

三島由紀夫賞に選ばれた理由のひとつは、作者の今後に期待して、とのことだそうで。
うん。この文体は期待しても悪くない。
『ハル、ハル、ハル』(古井川日出男)のも結構突っ走ってたが、この本はそのさらに上、フリーダムすぎるw
ここまで突き抜けた文章でも本になるんだな~と。すんごい前衛的。

はっきり言って、この本は次の引用で充分だ。

〝実は、いまの話の意味がもうひとつ分からなかったのだ〟
〝なんじゃ、そんなことですかいの。それなら気になどせんでくだされ。いまの話にはとりたてて意味などありませんのですじゃ


野球について書いてるはずなんだけど野球じゃない、というか、そもそも野球ってなんだったっけ、というか。

野球のポジションで例えるなら、「普通の意味での野球」はピッチャーなんだけど、この本はファーストやセカンドとか他の野手の話ばっかりで、やっとピッチャーの話かな?と思ったら相手バッターが選手台に立ってたりするんだよ。

変わった本だ。

〝絶好調のスランプ〟をまさかのライプニッツさんを交えて描く『ライプニッツに倣いて』と、
〝テキサス・ガンマンズ対アングリー・ハングリー・インディアンズの終章〟である『鼻紙からの生還』は印象的。

あと、「」を使わずに5人が会話する『日本野球創成奇譚』と、
全く関係のない人々が同じ空間・時間を共有している『愛のスタジアム』の手法は見るべきところがある。

<あらすじ?>
Ⅰ. 偽ルナールの野球博物誌  すべては受け手によって姿を変える、ってか? Ⅴの布石でもある。

Ⅱ. ライプニッツに倣いて      球は見えるが、見惚れてバットが振れない。バッター&ピッチャーの絶好調なスランプを描く。

Ⅲ. センチメンタル・ベースボール・ジャーニー
   やきゅう(死語)…大昔に亡んでしまったのでよくわかっていない。
              長い物で丸い物を打つゲームとも言われている。地面に角ばったものを置いて魔除けとした。

Ⅳ. 日本野球創世奇譚      「監督」が語る野球誕生の神話。「日本野球」が「複雑なものを単純にする」って動詞になるとはw

Ⅴ. 鼻紙からの生還        98回の裏2アウト、フルカウント。9対8でガンマンズのリード。あと一球だ。

Ⅵ. 愛のスタジアム         バラバラの関係を繋ぐのは野球スタジアム。

Ⅶ. 日本野球の行方        1985、阪神メンバーは「本当の野球」を捜しに別れていくのだった。