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ゼミ準備用 最後のまとめ 仕事と日本人 第一・二章

2008年10月11日

<全体の感想>
かなりの労作。多くの情報から必要なものを選び、自分の意見にしていく過程をほぼそのままの形で見せてくれる。
著者の読書量の豊富さ、労力がうかがい知れる。

その点では、『行間を読む』ことを目指すこのゼミの良い参考文献ではないだろうか?

また、よく労働問題についてメディアでは政策の異常、経済学では理論をもって対応しているなか、
歴史の流れから考察を行っているこの本は珍しい立場をとっている。


ただ、丁寧に進めるためとはいえ、引用がかなり多い。
あとがきで筆者も言ってるが、ある種の読書ノートのようである。
そのことで全体の論点が少し見えづらく感じることもあった。

後半は特にその傾向がある。読者がわが本書で知った研究からいろいろ学びとらなければならない

また、筆者の明確な意見はほぼ皆無であり、今後の対処法などについてもどうも歯切れが悪く、目新しいものが無い。

知識が豊富だからこそ偏った意見を表に出すのをためらったのだろうが、あまりに普通すぎる気がするのだ。

「うん。過去から現代までの話は分かった。じゃあ、これからの話は?確かに、そんな社会になったら理想だけどねぇ・・・」
とツッコミを入れたくなる。

このような本書に良くも悪くも対照的なのが『ルポ 貧困大国アメリカ』でしたね。
ルポということで、アメリカの現状を取材で伝えている・・・とはいえ、筆者が〝貧困〟にだけ目を向けてしまったせいで、あまりに一面的すぎるものになっていたと思う。光があるから影が出来るわけです。ただ、そのぶん、かなり衝撃的な内容になっていましたね。
ほんと、対照的。


第一章のポイント
◆先進各国の失業率(資料)&筆者が隠した数字と事実
さて、筆者は冒頭でフランス・ドイツ・アメリカのの労働事情の話からスタートしています。
そこで、ここでは、先進各国の失業率について調べておきました。


まず、失業とはどういう状態のことなのかって話から。

ただ〝働いてない〟だけだと、小僧からじじばばまで含んでしまう。

国際労働機関の定義は
・仕事を持たない
・仕事を探している
・すぐに仕事に就くことができる(けど今は仕事をしていない)

の3つの条件を満たす一定年齢以上のすべての人ってことになってます。

つまり、
・ケガや病気で入院していてすぐに仕事に就けない人
・仕事をしたいとは思っていても実際に仕事を探していない人は失業者には含まれていないのです。

そこんとこを踏まえて、資料を眺めて見ましょう。白黒で見づらいのは仕様です。

【資料】失業率の推移(日本と主要国)

日本
・97~98年の三洋証券・北海道拓殖銀行・山一證券と大型金融破綻がきっかけで失業率が急上昇
・自殺者も急上昇します。私はこれは過労働もあるでしょうが、精神的なストレスのほうが原因ではないかと考えますね。
・他の国にとってはほんの2%でも、日本にとってはそれまでの失業率が倍に跳ね上がったんですから。ま、今となってはアメリカ・イギリスと同じようなもんですけど。

フランス
・本書の初めに出てきたように、高い失業率、それも若者失業率は23%なんてふざけた数値を叩き出していました。
・中退した人たちの4割は失業、大卒でも1~5年以内で求職中な人が1割なんて状況でした。そこで出したのが『初期雇用契約』、CPEだったんですが、こいつも却下されてしまいます。
・で、ここでも言っときますが、【この法で2年以内に解雇の場合は、働いた分の総給料の8%分が上乗せ支給されるのです】これを筆者は隠していました。読者にすんなり納得させるには必要ない内容だと情報を判断し、抜き取った、ってことです。ま、字面も悪くなりますし、8%では少なすぎると判断したのでしょう。


ドイツ
・これも本書の初めに出てきていましたね。
・失業率低下の一因は、最低限の生活は確保してやるかわりに国が指定した仕事をしろ、なんて法律のおかげでもあるのですが、

・そもそもドイツの失業率が高かったのは、冷戦の終結により、東西が統合したからですね。それまでの体制がバラバラだったんだから当たり前っちゃあたり前です。

ロシア
・冷戦終了でバカ高くなってますね。最近は豊富な原油や天然ガスなどの資源を背景に、かなり景気が良いことになっています。それだけに、グルジアもちゃんと押さえておく必要もあったのでしょう。
・なんたってプーチンがいますからね。日本と共同開発していた油田まで抑えちゃう人です。北方四島の返還に至っては夢のまた夢でしょう。・・・と、ちょっと脱線してますね。では次。

韓国
・今アイスランドより危ない国ですね。国民の年金を勝手に使いきっちゃうほどにお金を投じても、ウォンの価値が下がりまくっちゃってます。ハゲタカに集られてます。リーマンの破綻の原因という噂もある国ですしね。
・1997年の急上昇っぷりは、アジア通貨危機が原因です。このときは日本が助けてあげたのに、恩を仇で返してきたので、今回の通貨危機に日銀もあまり動かないでしょう。

正直、ポイントとは言えないかもですが、1章ではこのようなところしか取り上げるところがなかったもので・・・w

では、次は渡辺に交代します。

◆〝必要だけどやりたくない仕事〟は?(疑問点)


さて、筆者は

〝労働の時間が、我慢するだけの、金のために自分を殺して働く時間であるというのは、どう考えても納得できない〟

〝多くの時間を費やす人間の活動が、単に金のためだけではない、働くことそのものに意味を見出すような働き方、そうした働き方にもとづいた労働観は考えられないでしょうか。金銭であらわされる個人の所得とは別の、社会的な意味があるのではないでしょうか〟


と言っており、〝働くことに意味を探してもいいし、そうしなくてもいい〟とも言ってはいますが、これはあくまで建前?で、筆者は最後の結論にもあるように、はたらく人々に〝仕事の主人〟になってほしいと思っています。
時間ではなく、課題に対しての報酬を与えるように、とも。

ですが、なかには、どうしても【必要だけどやりたくない仕事】というものが存在するし、そのような仕事において、仕事の主人ー、つまり、その仕事にお金では測れない意味を見出し、過剰労働はせず、自分の思うように生きることには無理があると思うのです。唯の、理想論ではないか、と。

たとえば、死刑執行人という仕事。確かに、お金では測れない社会的な意味、国のために断罪するのは自分たちしかいないという使命感を背負って任務にあたっているはずです。

ただ、それ以前に、自分から〝俺は死刑執行人になる!〟という人はいるのだろうか?
合法的に人を殺すことができることに憧れた人や、『死刑執行人サンソン』じゃないけど、親の仕事を継ぐ、とかでない限り。
その仕事に就いたのは、もとはと言えば、お金のためだったのではないだろうか?

たとえば、ルポにあったような、借金から選択肢が無くなり、イラクに派兵された人々はどうだ?
あれもアメリカにとっては必要だけど、やりたい人は少ない仕事だったろう。

つまり、〝必要だけどやりたくない仕事〟というのは確実に存在する。

全体の為には、個を殺さなければならない場面も確実に存在する。

その点において、全体の課題を達成するために個人の時間を殺しているともいえ、やはり、筆者の言う『仕事の主人』になるのは分業化が進んだ現在においてほぼ不可能なのではないかと思うのだ。

では、少しでも個人の時間を殺さず、なるべく自分が思うように行動するためにはどうすればよいか?
これは、【面白くないものを面白くする力】が必要だと思う。その仕事が面白ければそのまま、おもしろくないと思うなら面白くすればいい。ただ、これはまた『はたらく』ことについて、言葉の意味の変遷とはまた別の方向からのアプローチが必要になってくるのである。


第二章のポイント
◆筆者の思考過程がみてとれる
グーグルががんばればここまでこれるのか・・?

◆労働に対する負のイメージの原因とは?
もともとは体を動かす程度の意味だった〝はたらく〟


◆外国人と日本人の「はたらく」違い→時間の捉え方?
◆「労働」という言葉がなかっただけなのではないのか?(疑問点)

筆者は

〝「労働」という観念は近代の西欧社会で生まれ、文明開化とともに輸入された観念であることを、言葉の変遷からたどろうと思います〟

という考えで論を進めようとするが、自分はここで何かひっかかった。

西洋経済史を勉強している人はそう感じたのではないか?

近代どころか、古代ギリシャから「労働」という観念があったのはローマのマルクスが自省録に記しているし、紀元前のセネカさんまでもが書き残していることだ。

上の人は色々と思索を巡らし、奴隷にした人々に労働をさせていたのだから。

「労働」ということばの発明によって、世の中には、もともと「労働」というものが存在していたことがわかった、ということなのだと。

文明開化以前、つまり明治の初めに訪れた外人は〝日本人は怠惰だ〟と言っていますが、
じゃあ明治時代の前、江戸時代の人々は本当に「はたらく」だけで、「労働」はしていなかったとは言えるのだろうか?少し後の章には、P73『百姓伝記』など多くの農業関係の書物には、時間の大切さが書かれており、それを実行していくことは、「労働」することと同義ではないのか?勘定奉行や将軍の仕事ぶりはどうだ?

「労働」という観念は輸入されたものではなく、
「労働」という言葉によって再発見されたものなのだ、というのが自分の主張だ。

外国人に見えたのは、彼らが早くから分業化された労働事情だったからだろうよ。
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