スポンサーサイト

--年--月--日

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

現代ドイツ ~統一後の知的軌跡~ 【★★★★  rank A 】 No.348

2009年01月22日

現代ドイツ―統一後の知的軌跡 (岩波新書)(2006/02)
著 三島憲一
社 岩波新書(994)
Ex 欧米史の参考文献

日本と同じく敗戦国となったドイツ。
ああ、日本と重なるなぁと思いつつ読むことになるだろう。

特に二重国籍問題や過去をめぐる論争は『現代日本』としても読めるはずだ。
ネオナチとネット右翼はちょっと違う気がするけどねぇ。

◎目次
はじめに
第一章 ドイツ統一 ――国民国家の再生?
 第一節 ベルリンの壁の開放から統一へ
 第二節 統一手続きの間違い
 第三節 ヨーロッパの中のドイツへ

第二章 統一のきしみ
 第一節 東ドイツの解体整理
 第二節 「知識人」批判

第三章 ネオナチの暴力 ――庇護権問題
 第一節 頻発する外国人襲撃
 第二節 戦後東西ドイツの右翼
 第三節 かき消される暴力反対の声

第四章 中部ヨーロッパの大国?
 第一節 二〇世紀史の読み替えと中部ヨーロッパ論
 第二節 悲劇の精神からのドイツの再生?
 第三節 二重国籍をめぐる議論

第五章 新たな国際情勢の中で
 第一節 湾岸戦争
 第二節 ユーゴ内戦

第六章 過ぎ去らない過去
 第一節 二重の過去
 第二節 過去をめぐる論争
 第三節 記念碑をめぐって

第七章 EU統合の深化とカントの希望の再生
 第一節 続く戦争と人権政治の浸透
 第二節 ヨーロッパ統合とコスモポリタニズムの政治
 第三節 協力する二人の論敵 ――デリダとハーバーマス

あとがき
主要参考文献


日本とドイツの違いとしては、①国内での東西分裂 ②本土での大虐殺 ③二度の大戦敗北 とかかな?

あと、この本の著者はちょっと左に傾いている人なので、そのことも念頭に読むことを薦める。
(例えば、日本はドイツに比べて戦争に対する反省が足りない!!って・・・そーっすか・・・)
かなりハーバーマスさんの引用が出てくるしね。リベラル・レフト?

それにしても、自分が生まれた1989年ころ、こんなに世界は荒れていたのな。ちょっとビックリだわ。
(※第四章は現在の日本と重なる重要な問題。トルコを中国・フィリピンに置き換えると、そのまんま日本の二重国籍問題になる)

<まとめ>

第一章           ベルリンの壁崩壊前から東西統一まで。ライプツィヒの月曜デモ、そのスローガン「我々はひとつの民族だ」
ドイツ統一         が広まり、統一へと進むのだが、そこには様々な問題が。統一早すぎじゃね?という西側の人々の意見が
 ~国民国家の再生? 反映されていなかったとか、民族問題とか。
               
                著者は〝統一がまずいのではない、手続きに問題があった〟と指摘する。

第二章           制度上の統一は早かったものの、西側と東側の人々との間には深い溝ができてしまう。
統一のきしみ       〝東側の生産性は西の20%ほどだったのではないか〟とも言われていたそうな。
               
               そりゃあ「この先生きのこれない」わな。
               国営企業は次々と倒れ、失業率は跳ね上がり、経済格差は広がる一方。
               そんな状況下、「ドイツ固有」の文化へ立ち戻れるのか?というハーバーマスとヴォルフの論争は続く。

第三章            東側の国営企業で働いていた外国人労働者のほとんどが失職。
ネオナチの暴力      彼らは条約どおり滞在五年目で帰国してくれるはずだったが、その五年間で結婚・出産したり、
  ~庇護権問題     法制度の穴を衝いた庇護権の申請を行うことで居心地の良いドイツに留まることを望むようになる。
                庇護権により、国は①強制送還の無効化 ②住居の提供 ③公的扶助金の提供 を認めなければならず、
                財源は税金ということもあり、市民の不満が募り、〝ネオナチ〟による外国人襲撃が頻発することに・・・。

第四章            多くの外国人労働者を抱えるドイツ。「両親がドイツ人なら子供もドイツ人」という国籍法改正の動きが
中部ヨーロッパの大国?  左翼側から出てくる(もちろん、外国人の選挙権により自分たちに膨大な票が流れ込むのは計算済み)
                これに対し、猛烈な反対がなされる。
                「ドイツ人になったトルコ人を頼って親戚の親戚までもがドイツにやって来て、彼らもいずれドイツ人となると、
                ドイツはトルコ人の海に沈んでしまう」
という右翼。とりあえず改正は無くなったが・・・。

第五章            湾岸戦争でも軍を出せず後方支援にまわったドイツ。戦争に対する議論が活発に交わされる。
新たな国際情勢の中で
                ヴァルツァー「交戦権と戦争法規の区別を。道徳的批判より戦時国際法を重視すべき」

                ハーバーマス「『正義の戦争』は存在し得ない。明らかな攻撃等があったときに、
                国連の『警察行動』としての武力行使以上であってはならない」

                エルンスト・トゥーゲンハット「自分の過去の罪を利用し、その人が私になにもかもを要求してきたら、
                しかもこちらとしては良くないと思うことをやってくれと言ってきたら、
                それは、カント的な意味での私への自律への侵害と思う権利はあるはずである」


第六章            強制労働者への膨大な補償。それは個人に対する国家の補償であり、国際法の拡大を意味する。
過ぎ去らない過去     
                そこに作家マルティン・ヴァルザーの平和賞演説である。
                「いつまでもナチの過去を、毎日のようにメディアで論じられてはたまらない。
                論じる側に絶対の正義があるような議論はいい加減にしてほしい。
                『道徳の棍棒』を振りかざす『意見の兵隊』たちはうさんくさい。『過去の道具化』はもうやめてほしい」

                これに対し、在独ユダヤ人中央議会長ブービスは「ヴァルザーは精神的放火犯だ」と激しい批判。
                ホロコーストの記念碑2700本は、起きたことの理解不可能性をあらわすのか?


第七章            コソボ空爆にアフガニスタン派兵~イラク戦争に関するドイツ内での議論。
EU統合の深化       また、そのころEUは共通通貨ユーロによる経済統合を深化させ、政治的共同体への道を模索し始めていた。
 とカントの希望の再生  果たして、カントの「永遠平和のために」の思想~世界連邦への道をEUは切り拓くことができるのか?

「国際政治における決定事項を判断する際、その背後で交わされる議論、あるいはその組み立てを見ていないと理解を誤る」(by 筆者)



<関連記事>


<関連リンク>
「多文化主義は完全に失敗」 メルケル独首相が発言 ~ CNN.co.jp
関連記事


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://u1r0.blog50.fc2.com/tb.php/178-bec989b8
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。