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夏のロケット 【★★★★  rank A 】 No.448

2009年07月13日

夏のロケット (文春文庫)(2002/05)
著 川端 裕人
社 文春文庫
Ex Dainオススメ 第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞を受賞

エンデバーはまた延期か。
夏らしくなってきたので読んでみた一冊。

「核弾頭を運べばミサイルに、人間を運べばロケットになる」
いつぞやのノドン発射の時にも問題となった話である。

火星に憧れ大人になった5人のロケッティアの夢と冒険を描く。 BGMは 黒の騎士団 プラネテスのEDでどうぞ。
子供たちがロケットを作る洋画があったはずなんだけど・・・なんて名前だったっけな、あの映画。
スプートニクのなんちゃら だったっけ?あれを事前に見ておくことを勧める。
(追記:OCTOBER SKY ※邦題は遠い空の向こうに って映画でした)

ミステリ・SFかと思ったら、そうでもなかったぜ!すっごい熱いし厚いよ!(388頁)
それでいてとっても爽やか。肌にべたつかない読書を約束してくれる。

著者は東大から日本テレビに入社、科学技術庁・気象庁の担当を経て現在フリーランス。
毛利衛さんの宇宙飛行も取材していた。・・・そりゃロケットにも詳しくなるわな。

国家プロジェクトとされているロケット開発を、ローコスト&ローテク?な個人製作でこなし、宇宙目指して奮闘する。
かといって「友情と根性だけで成功したぜ!」なんてことにはしない(多少無理な展開や文章はあるけども)。
試行錯誤の連続である。基礎理論は?燃料の形式は?材料は?加工法は?資金の調達は? 発射実験場所は?etc...
低予算でも、億単位の資金が必要。 低予算だから、それだけ危険を伴うロケット開発となる。
このことがラストの高揚感をもたらしてくれるのだが・・・

表紙は壮大なネタバレだなw でも、これで良い。表紙を見て買うのもいいが、いっそのことブックカバーをしてもらっておくとなお良し。

ただ、主人公の“ぼく”(高野)だけがどことなく仲間外れにされているようで寂しい。

(略)、要するにぼくをのぞくほかの連中は、いつのまにかしっかりと記念のサインをロケットのボディにしていたのだ。~なんて連中なんだ!
(略) これでぼくも完全に彼らと共犯だ。  ぼくは、そのことが純粋にうれしくてならなかった。(P317 11行~)

新聞記者という立ち位置だからか、他のメンバーと少し距離があるような・・・これは配慮なのか?
この場面は各メンバーがそれぞれが勝手にやったことだと思いたい。せっかくの終盤なんだしね。



<あらすじ>
高校生のとき、ぼくのまわりには宇宙開発やロケットについて興味を持つ「同志」がいた(P24)

体格がよく、ぼく(高野)を天文部に引きずり込んだ北見は大卒後一流商社の宇宙事業本部へ。
理論派で独断的、あだ名は「教授」の日高は、航空宇宙専攻で修士課程終了後、宇宙開発事業団の研究者に。
手先が器用な職人、清水は材料工学修士課程終了後、大手特殊金属メーカーの研究者に。
容姿端麗な秀才の氷川は医者を継がず、高卒後に売れっ子ロックミュージシャンとなり、現在は事務所社長に。
・・・そして ぼく(高野) はというと、大卒後新聞社に入社、現在科学部宇宙担当記者に。

高校を卒業してからはお互い住む場所もバラバラになり、5人が一堂に会すのは難しくなった。

そんなある日、過激派のミサイル爆発事件が発生。
ロケットに詳しいということで高野は同期の女性記者純子と共にこの事件について調べていくことになる。

(略)~あるものを見つけてしまった。金属のノズルの後尾に取り付けられたセラミックのような質感の物体だった。 「噴射板だ」 (P20)

(略)噴射板はみな正方形や台形に近い、いわば正統派のものばかりで、ブーメラン形なんて奇抜な格好のものは皆無だった。 つまり、このかたちの噴射板は非常にオリジナリティが高く、ほかの人間が思いつくなんて考えられない。 そんなわけで、爆発現場の写真の中にブーメラン形の噴射板を見つけたとき、ぼくが最初に考えたのは教授のことだった (P42)

あのロケット班の仲間たちがこの事件に関わっているのだろうか。ぼくは氷川主催のロケットコンテストで氷川をつけると、ある町工場にたどり着く。
高校時代世話になった源さんの工場。そこにはかつての部活メンバーが揃っていた。
今は新聞沙汰にされたくないとはいえ・・・ぼくには秘密でロケットを作っていたのか・・・。

かつての部活メンバー各人は<打算>と<目的>から再集結。
例えば、北見は「低予算でロケット」、「質実剛健、ローテクにして最先端」を目指していた。

「マーズロケットが本当にビジネスになるの?」 「なる」 きっぱりと北見は言った。 「まあ、そのうちおまえには話すよ」 (P85)

1億9千万・・・宇宙開発としては格安のプロジェクトが東京の孤島に舞台を移し、始動する。
ロシアで宇宙服を調達してコストを削り、試作機を飛ばしてデータを集め・・・。
秘密基地でロケットを作り上げてゆく5人。

目をつけられやすいロケット、多大な費用、たび重なる失敗。 5人の夢を乗せた<マーズ18号>は、困難の壁を突破できるのか。

今、ローンチ(発射)が始まる。



<関連記事>
◇プラネテス S
◇猫の地球儀(焔の章&幽の章総合) A
◇OCTOBER SKY A
気になった動画 宇宙から海までダイブする 上向き&下向き版(再)
気になる記事&動画 三菱重工業、H2A打ち上げ 「成功」 & かぐや打ち上げに「竹取飛翔」をつけてみた

<関連リンク>
追記: 宇宙からブログ更新って、いいよね。
Yahoo!ブログ - 若田光一 宇宙ブログ

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コメント

  1. 藍色 | URL | -

    Re: 夏のロケット 【★★★★  rank A 】 No.448

    爽やかでしたね。
    トラックバックさせていただきました。
    トラックバックお待ちしています。

  2.  弓兵 Lv. 2 | URL | -

    取材で手に入れた知識の有効活用

    またもや藍色さん、コメント・トラックバックありがとうございます。
    今更ながら、こちらからもトラックバックさせてもらいました。

    普段あまり触れることのないロケットの蘊蓄。
    だからこそ、引きこまれるものがあったのかな、と思った一冊でしたね。

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