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タイタンの妖女 【★★☆   rank C+】No.342

2010年08月05日

タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫 SF 262)(1977/10)
著 カート・ヴォネガット・ジュニア
社 ハヤカワ文庫
Ex The Sirens of Titan

様々な 不 条 理 によって、
太陽系惑星間を放浪させられる主人公。
そのサイハテ、預言の地であるタイタンで明かされる真実とは。

最後のオチの受け取り方等で、評価が大きく分かれそうな本である。

◎目次
タイタンの妖女
Ⅰ 地球
 1 ティミッドとティンブクツーのあいだ / 2 電信室の喝采 / 3 ユナイテッド・ケーキ優先株

Ⅱ 火星
 4 テント貸します / 5 見知らぬ英雄からの手紙 / 6 戦時脱走兵

Ⅲ 水星
 7 勝利 / 8 ハリウッドのナイトクラブで / 9 解けたパズル

Ⅳ 地球
 10 奇跡の時代 / 11 われわれはマラカイ・コンスタントを憎む、なぜならば……

Ⅴ タイタン
 12 トラルファマドール星からきた紳士

エピローグ ストーニイとの再会



「単時点的な意味において、さようなら」

初期の村上春樹作品に影響を与え、また爆笑問題太田の一押し本とのこと。
なんでも、爆笑問題の事務所名「タイタン」はこのSF小説のタイトルからだとか。

太陽系をゆっくりしていった結果がこれだよ!!と、ゆっくりたちもいっておられるこの話のオチ。
物語には設定を広げた後うまく畳んでいく形と、ずっと風呂敷を広げに広げまくって突き抜けていく形があるけど、これは明らかに後者。
あのオチには FFⅨのラスボスに「永遠の闇」が出てきた唐突さがある。

主人公がどうやっても逃れられない不条理を不条理で展開していく構成だけに、もう少し報われてもいいんじゃないの?と思ってしまう。
アレを届けたこと、最後の最後に地球に帰ってきて凍死することで報われたというのだろうか。
当の本人である人生を振り回されたコンスタントは「それでもいいんだ。気づかないうちに利用されていたならそれもそれ。むしろ利用されるだけマシじゃあないのか」と悟りの境地に至ってるからいいのか。

「ま、人生にさしたる意味なんてねーんだよ」というこのオチは、救いとなるのか絶望(失望)となるのかは読み手の受け取り方ひとつ。
でもなー。「ここまで400頁読んできてそれっすかw」と言いたくもなるからなぁ。
長くかかる読書時間のことも考えて、C+ってことで。時間を気にしない、オチも気にしない、ってんならSFとして良作なのでB+~Aくらいまで跳ね上がるかもしれない。最初に評価が大きく分かれる本だと言っておいた理由である。

Nice (Black) Joke.



<あらすじ(ネタバレあり)>

  time と Timbuktu のあいだには、 time に関する単語が並んでいる。
 時間等曲率漏斗(クロノ・シンクラスティック・インファンディブラム)に飛び込んだ一人と一匹、宇宙探検家ウィンストン・N・ラムフォードとその愛犬カザックは、量子力学において波が有する確率と同様な「波動現象」――過去・未来を問わず世界に遍在する現象――としての存在となった。

 ある日、地球がその時間等曲率漏斗と重なる時が来た。主人公である大富豪コンスタントとその取り巻きは、この時だけ実体化するラムフォードと対面することになる。すべての時空にあまねく存在し、神のごとき全能者となったラムフォードは、コンスタントにある預言をする。

「とにかくきみは(タイタンに)行くのさ――わたしが保証する」


ラムフォードが言うに、コンスタントは(ここ)地球 → 火星 → 水星 → 地球 → タイタン へと旅する運命らしい。
地球にいるのに?こんなにもお金を持っていて、恵まれているのになぜそんな旅をしなければならないのか?

「単時点的な意味において、さようなら」


 奇妙な予言を残し、ラムフォードはまた波動現象となって消えていく。
 それと同時に富豪としてのコンスタントを支えてきた株の強運は尽き、財産をほぼすべて押さえられてしまう。地球に居場所がなくなったコンスタントは火星陸軍中佐としての地位が得られると聞き、ラムフォードの船で火星へ飛ぶことにした。

(火星)
・・・で、ここからコンスタント受難の旅が(笑)火星陸軍中佐どころか一般兵として記憶を奪われ、UNK(アンク)として生活を送ることになる。なんとか記憶を取り戻し、火星での妻と、お守りとしての鉄の欠片を持つ息子クロノと再会できた・・と思ったらはぐれてしまい、再び一家離散の憂き目。
おまけに脱走兵として追われ、火星で出来た親友ボアズと水星に逃げるハメに。泣きっ面に蜂。

(水星)
ボアズと水星まで逃げたものの、コンスタントは地球への未練が残る。なんだかんだ惑星間戦争の準備はしてきていたのだ。
ボアズは水星の生物ハーモニウムと生きることを選び、コンスタントは脱走用ロケットを修理し、再度地球へ行くことを選ぶ。
(この間に、火星軍は故郷でもある地球に戦争をしかけ、一方的な敗北する)

(地球)
・・・やっとの思いで地球に帰ってきたが、地球ではラムフォードが火星人による侵略後の地球を団結させるため「徹底的に無関心な神の教会」を創立していた。せっかく戻ってきたのに、宗教に背く存在として全世界の敵に仕立て上げられていたコンスタントさんまじパネぇっす。
コンスタントは火星人として捕虜になっていた妻・息子と合流し、3人でタイタンに追放されることになった。

(タイタン)
 そして、最終目的地タイタンに待ち構えていたラムフォードと宇宙人サロに明かされる真実。

――これまでのあらゆる地球人がやったことは、15万光年むこうの惑星に住む生物たちによって歪められていた


 その惑星の名はトラルファマドールという。サロはタイタンに20万年もの間、足止めを食らっていたらしい。

彼らがどのように我々を操ったのかを私は知らないが、何の目的で操っていたのかは知っている。彼らは、このタイタンに不時着したトラルファマドール星人の使者(サロ)のところへ、我々に交換部品を届けさせる目的で、我々を操ったのだ
きみ(クロノ)のポケットには、地球の歴史の最終結果が入っているんだよ



「おれたちはそれだけ長い間かかってやっと気づいたんだよ。
 人生の目的はどこのだれがそれを操っているにしろ、手近にいて愛されるのを待っているだれかを愛することだ、と」

「だれにとってもいちばん不幸なことがあるとしたら、それはだれにもなにごとにも利用されないことである」

「わたしを利用してくれてありがとう」

「いや、どういたしまして」



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